コンテンツマーケティング 公開日: 2020.11.26 更新日: 2024.03.26

コンテンツマーケティングとは?目的やメリット、実践手段を解説

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コンテンツマーケティングとはSEO施策の1つです。コンテンツマーケティングはまだ認知度が低く、SEOと混同されることも多い概念ですが、両者は似ているようで異なります。例えば、SEOは集客を目的としていますが、コンテンツマーケティングの目的は集客だけではなく、信頼性のあるコンテンツを継続的に作成・公開することにより、ユーザーに対してエンゲージメントを作ることです。

本記事では、コンテンツマーケティングの基本から成功の秘訣まで、SEOとの違いにも触れながら、詳細に解説します。実際の成功事例も紹介しますので、コンテンツマーケティングを行う際の参考にしてください。

この記事の目次

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、ターゲットユーザーのニーズ(知りたいこと)に対して信頼性のあるコンテンツを継続的に作成・公開することによって、エンゲージメントを作り出すマーケティング手法です。エンゲージメントとは、「愛着心」や「思い入れの強さ」などを意味します。

そのため、ユーザーと信頼関係を構築し、常連顧客化するまでがコンテンツマーケティングといえます。

コンテンツマーケティングが必要な理由・注目されている背景

インターネットと検索エンジンの驚異的な進化は、ユーザーに、「調べれば大抵のことはわかる」という環境を提供しました。多くのユーザーは「知りたいことの答えは自分で探すことができる」と感じています。そしてモノが溢れ、モノ余りの現代では「自分が欲しいタイミングで買う」という人が増えてきています。

このような背景により、売り込み行為やセールス行為は、ユーザーに「押し売り」のように感じられ、あまり良い印象を持たれません。

そのため、従来の宣伝手法(広告や訪問でのPRなどの売り込み型の宣伝)ではユーザーと信頼関係を構築すること、リピーターを作り出すことが難しくなっています。これにより、コンテンツマーケティングに必要性を感じている企業が増えてきています。

また、誰もが当たり前のようにネットニュースやSNSを利用する時代で、ユーザーの宣伝に関わるリテラシー(知識や見解など)は高まる一方です。そのため、ユーザー自身もすぐに「これは広告だな」「私に何かを売ろうとしているな」と感じるようになってきています。

このように、日常生活に広告が溢れかえっている現代では、ユーザーが広告疲れを引き起こしており、広告や訪問での売り込み型の手法では効果が得にくくなっています。

その一方で、企業は厳しい競争にさらされ広告宣伝費を削減しようとします。「少ない広告宣伝費でも宣伝効果を出したい」企業にこうした心理が芽生えています。

ではどうしたら広告宣伝費を抑え、お金をかけずに宣伝効果を生み出すことができるのか。その答えが、ユーザーの「自ら情報を獲得する行動」に着目すること、そしてそのユーザーの行動の変容に対応できるのがコンテンツマーケティングです。

企業が良質な情報をコンテンツ(記事や動画)に盛り込んで発信すれば、それを探しているユーザーの目に留まり、宣伝効果が生まれます。

ユーザーの目に留まったコンテンツが信頼できるものであれば、ユーザーは「信頼できる情報だ」「信頼できる商品だ」と感じるため、企業はユーザーと信頼関係を構築できます。

コンテンツマーケティングと今までの手法との違い

コンテンツマーケティングと従来の宣伝手法の違いをみていきましょう。

従来の宣伝手法の最大の特徴は「売り込む」ことです。売り込みは文字通り「売る」プラス「込む」ことのため、かなり強い押しといえます。

コンテンツマーケティングでは原則、売り込みません。もちろんコンテンツの中で自社商品のよいところを紹介することはありますが、売り込むことは極力回避します。コンテンツを発信したら、それを読むかどうか、視聴するかどうかはユーザーに委ねられています。

発信するコンテンツは、ユーザーのニーズを起点にして作っていきます。

コンテンツマーケティングに取り組む企業は、ユーザーの知りたいことを把握して、その答えをコンテンツに盛り込みます。ユーザーは、知りたいことの答えを求めてインターネットにアクセスしてそのコンテンツと出会い、求めていた答えを得ます。

コンテンツマーケティングで最優先にすべきことは、ユーザーが知りたいことです。こうして「ユーザーのニーズを起点にする」を実現することができます。

コンテンツから答えを得たユーザーは、そのコンテンツを発信している企業を信頼し、商品やサービスを購入するに至るという仕組みです。

コンテンツマーケティングとSEOの違い

コンテンツマーケティングと同義と捉える方が多いSEOですが、実際は似ているようで異なります

SEOは「検索エンジン最適化」という言い方もされますが、検索結果において自社のページを上位表示させるための対策のことを指します。

一方、コンテンツマーケティングで行う施策の目的は、集客だけではなく、信頼性のあるコンテンツを継続的に作成・公開することにより、ターゲットユーザーに対してエンゲージメントを作ることです。

コンテンツマーケティングの種類

コンテンツマーケティングには4種類あります。これは以下の4段階のセグメントに呼応しています。

■4段階の顧客セグメント

●1段階:サービス・商品を認知する認知段階
●2段階:サービス・商品の購入を検討し始める検討段階
●3段階:購入するために他社や他サービスと比較を行う比較検討段階
●4段階:最終的に購入を決定する決定段階

顧客セグメントの段階が上がり、認知→検討→比較→決定と経ていくほど、購入される確率が高くなっていきます。

それではこの4段階のセグメントに合わせてどのようなコンテンツを用意したらよいのか具体的に紹介します。

認知段階でのコンテンツとは

認知段階でのコンテンツには、オウンドメディアを使ったブログコンテンツ、SNSでの情報配信と拡散、リスティング広告などがあります。

顧客の認知を得るには、コンテンツと顧客の接点を多くする必要があるため、オウンドメディアやSNS、リスティング広告といった「広げやすい」ツールを使います。

検討段階でのコンテンツとは

検討段階に入った(見込み)顧客は、「もっと情報が欲しい」と感じているはずです。そこで検討段階では、より詳細な情報を提供できるコンテンツを使います。

ランディングページ、公式サイトの商品・サービス紹介ページ、メールマガジンなどが有効でしょう。

企業がオウンドメディアを開設したら、先ほど紹介した認知段階顧客向けコンテンツのほかに、検討段階顧客向けコンテンツを掲載することも可能です。

比較検討段階でのコンテンツとは

比較検討段階に入った(見込み)顧客は、対象となる商品・サービスの効果や実力を知りたいと思っています。

そこで公式サイトに、対象となる商品・サービスを使って成功した事例や導入事例を掲載すれば、そのニーズに応えることができます。

また、実際に対象商品・サービスを購入してくれた顧客にインタビューをして、それを公式サイトに掲載することもおすすめです。

ホワイトペーパー(詳細情報の報告書など)をPDFにして、公式サイトにアクセスした(見込み)顧客に提供してもよいでしょう。

動画配信サービスを使って、対象となる商品・サービスの使い方説明動画を配信することも有効です。「欲しい」→「なるほどこう使えばいいのか」→「買おう」といったように(見込み)顧客に行動変容を促すことができます。

決定段階でのコンテンツとは

(見込み)顧客が「買う」と決めても油断はできません。「買う」を「買った」にしなければ売上にならないため、決定段階用のコンテンツも用意したほうがよいでしょう。

決定段階でのコンテンツには、カタログやパンフレットがあります。

また、比較検討段階でのコンテンツと重複しますが、ホワイトペーパーは決定段階でのコンテンツにもなりえます。概要版ホワイトペーパーを比較検討段階でのコンテンツに、完全解説版ホワイトペーパーを決定段階でのコンテンツにすることができます。

セグメントに合わせたコンテンツの種類は以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
コンテンツマーケティングの種類とは?顧客のセグメントに合わせよう

コンテンツマーケティングを行う目的

ここまでで、コンテンツマーケティングの概要をお伝えしてきました。では、コンテンツマーケティングはどのような目的で用いられるのでしょうか。

目的➀見込み客を獲得するため(=リードジェネレーション)

「見込み客」とは自社の商品やサービスの対象となるニーズを持っており、将来的に顧客になる可能性がある人のことを表します。

自社サービスと競合性の高い企業の情報やニュース、動画や写真などターゲットユーザーが興味を示しそうなコンテンツを掲載することで、潜在的なターゲットユーザー(見込み客)を集客可能です。価値ある記事であればSEOも評価されやすいとされ、またSNSシェアなども期待できます。

特にSNS(Twitter・Instagram・LINE・TikTok・Facebookなど)はシェアしたり、されたりすることでコンテンツへのアクセスが増え、認知度が上がる可能性があります。うまく拡散されれば、オーガニック検索以上に多くのユーザーを集客することもできるでしょう。

シェアされるためには、よりユーザーが共感し、他のユーザーにも伝えたいと思うような内容の記事にする必要があります。

目的➁見込み客を育成するため(=リードナーチャリング)

見込み客を獲得した後は、実際に商品を購買してくれる顧客になってもらうために育成が必要となってきます。

自社製品の特徴、他社製品との違い、関連業界の専門知識、口コミなどを掲載することで、見込み客に自社製品をよりよく理解してもらい購入意欲を高めます。

決して押し売りをするのではなく顧客の抱える問題に対し、解決策を提案することで納得をしてもらうことが重要です。

詳しくは次の記事を参考にしてください。
リードナーチャリングとは?基礎から成功の秘訣までマスターしよう!

目的③PV数・セッション数・ユニークユーザー数(UU)を増やすため

コンテンツマーケティングを行う1つ目の目的として挙げられるのは、PV数・セッション数・ユニークユーザー数(UU)を増やすことです。

PV数・セッション数・ユニークユーザー数(UU)のそれぞれの意味は以下の通りです。

PV: ユーザーがページを閲覧した回数
(例:ユーザーが3つの記事を見ると、3とカウント)
セッション:サイトへの訪問数
(例:同じユーザーが2回訪問すると、2とカウント)
ユニークユーザー(UU):サイトへの訪問人数
(例:同じユーザーが2回訪問しても、1とカウント)

良質な記事を作成・公開していくことで、検索流入が増えるだけでなく、あなたのサイトやオウンドメディアに訪れたユーザーがリピーターとなり、安定したPV数・セッション数・ユニークユーザー数(UU)を維持できるようになります。

ユニークユーザー(UU)とは?PVやアクティブユーザーとの違いも解説!

目的④顧客のファン化

見込み客や既存顧客を自社や自社製品のファンにすることで定着を図ります。

その為には、オリジナリティあふれる品質の高いコンテンツが必要です。

ファン化のカギは「あらたな発見」「今後への期待」を提供し、業界の専門知識に根差した良質なコンテンツを提供することで「次が見たい」と思わせることがポイントです。

目的⑤企業・ブランド認知を高めるため(ブランディング)

コンテンツマーケティングを行う5つ目の目的として挙げられるのは、企業・ブランド認知を高めることです。

専門性の高いユニークなコンテンツを提供し、それが認知されることで、結果として自社のブランディングにも繋がります。

また、他社との差別化を考えるならただコンテンツを作るのではなく「自社ならではの特徴」や「特にユーザーに伝えたいこと」を明確にしましょう。

ブランド認知を高めるには、長い時間がかかりますが、ブランド認知が高まるとそのブランドの固有名詞で検索されるので、SEOに左右されにくくなります。

例えば、Googleでは定期的にアルゴリズムのアップデートがあり、そのアップデートによって、検索順位が大きく変動しますが、そういったことにも振り回されにくくなります。

ユーザーに価値ある情報を継続的に提供していくことで、徐々にリピーターが増え、ブランド認知を高めることに繋がります。

Googleのコアアルゴリズムアップデートに対する理解を深めて、検索順位を上げよう!

目的⑥ CV(コンバージョン)数を増やすため

コンテンツマーケティングを行う4つ目の目的として挙げられるのは、CV(コンバージョン)数を増やすことです。コンバージョンを増やすこともコンテンツマーケティングの施策の1つに含まれます。

良質なコンテンツを作成・公開しているからといって、必ずしもコンバージョンが多くなるとは限りません。コンバージョンへの導線がしっかりと考えられていないと、コンバージョンには至りません。
また、

  • お問い合わせフォームがわかりづらい
  • お問い合わせフォームに入力項目が多すぎる
  • (Web広告を出稿している場合)宣伝文とランディングページの内容が合っていない

など、ユーザーファーストになっていない部分を改善することで、コンバージョンが増える可能性があります。これらも、コンテンツマーケティングの施策の1つです。

コンテンツマーケティングのメリット・デメリット

コンテンツマーケティングに取り組むとさまざまなメリットが得られます。ですが、反対にデメリットもあります。それぞれを把握したうえで進めていきましょう。

コンテンツマーケティングのメリット

まずは5つのメリットからお伝えします。それぞれみていきましょう。

取り組むハードルが低い

例えば、WEBサイトに対して修正を加えなければならない場合、専門知識を持ったエンジニアが必要となります。

ですがコンテンツマーケティングは、ポイントを抑えれば誰でも取り組むことができます。比較的取り組むハードルが低いと言えるでしょう。

資産になる

完成したコンテンツには、自社の情報とノウハウが詰まっています。そしてこのコンテンツは企業が削除しない限りいつまでも残り続けるため、「資産」になります。

例えば、あるユーザーが2022年にあるコンテンツを閲覧したとします。そのコンテンツを掲載し続けていれば、別のユーザーが20260年にそのコンテンツを閲覧するかもしれません。

また1つのコンテンツを、公式サイトに掲載することも、プレゼン用の資料にすることも、実績紹介の報告書に使うこともできます。コンテンツは流用可能な資産です。

広告宣伝費を削減できる

コンテンツマーケティングが軌道に乗れば、宣伝効果が生まれるため、広告宣伝費を削減することができます。

例えば、リスティング広告では費用をかけて検索結果で自社のコンテンツ(記事やLPなど)を上位表示させますが、コンテンツマーケティングで検索上位を取れば、無料で自社のコンテンツをユーザーに見せること(宣伝)ができます。さらに、順位が下がらなければ、ずっとターゲットとなるユーザーの目に触れさせることができます。

このようにSEOを施して検索上位を獲得できれば、それだけで接触できるユーザー数(見込み客数)が増えるため、コンテンツマーケティングは費用対効果が高い手法といえます。

信頼される

コンテンツは「広告ではない」「情報がたくさん盛り込まれている」という認識が広がっているため、コンテンツを多く生み出す企業は「広告を押しつけない企業」「情報提供に熱心な企業」と認知されユーザーに信頼されます。

ただユーザーから信頼されるには良質なコンテンツを作り続ける必要があります。コンテンツの読了後、または視聴後に「ためになった」「面白かった」と思われるものにしなければなりません。

良質なコンテンツを発信し続けると、企業のファンが増え、ブランディングにもプラスに働くでしょう。

SNSとの相性がよく情報を拡散できる

コンテンツはSNSとの相性がよく、例えば、企業が作った動画を視聴したユーザーが「これはよい」と感じたら、自身のSNSアカウントで広めてもらえる可能性があります。

よいコンテンツを発掘することと、それを知り合いや第三者に広めて「よかった」と感じてもらうことに喜びを感じるSNSユーザーは多くいます。

SNS利用者が有益なコンテンツについて口コミを書いたり、仲間とシェアしたりするのは、この喜びを得たいからです。また、ユーザーには企業から「よい」といわれるより、第三者から「よい」といわれたほうがよいと感じやすいという性質もあります。ユーザーは、広告よりも第三者による口コミやシェアをより信頼する傾向にあるためです。

コンテンツマーケティングのメリットについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
コンテンツマーケティングの4つのメリットと知っておきたい注意点を解説!

コンテンツマーケティングのデメリット

続いてコンテンツマーケティングのデメリットをご紹介します。

時間と手間がかかる

コンテンツの作成にはそれなりの時間と手間がかかります。場合によっては社内のさまざまな部署に協力を仰ぎ、確認が必要となることもあるでしょう。

また、コンテンツマーケティングは継続することが非常に重要です。せっかくコンテンツを作成しても、途中で更新が途絶えてしまうと期待していた効果を得ることができません。

すぐに成果がみえない

広告が「押し」だとすれば、コンテンツは「待ち」の施策です。良質なコンテンツを作成しても、公開直後にすぐにアクセス数を集めることができない可能性があります。

特にコンテンツマーケティングを始めたばかりのころは、検索エンジンからコンテンツを認知されるまでに時間がかかったり、知名度が低かったりするため、成果は出にくいでしょう。したがって、コンテンツマーケティングは費用面のコストは安価ではありますが、時間的なコストがかかり、時間に見合ったコストの回収には時間がかかります。

短期的には成果が見込めないことを把握しつつ、中長期的な観点からコンテンツマーケティングを展開していく必要があります。

コンテンツマーケティングの実践手順

コンテンツマーケティングを正しく理解して実践することで、あなたのWebサイトに訪れるユーザーに対して、本当に価値のある記事やサービス内容を伝えることができるだけでなく、商品やサービスの購入も増える可能性があります。

ここからは具体的にコンテンツマーケティングを実践するための手順を解説していきます。

手順1. コンテンツマーケティングを行う目的を明確にする

まずは、コンテンツマーケティングを行う目的を明確にしましょう。コンテンツマーケティングを行う目的は、サイトによってさまざまで、目的の数も1つとは限りません。

例えば、商品やサービスの購入を目的とする場合は、読者に対していくら有益な情報を提供してリピーターを増やしても、商品やサービス購入のためのコンバージョン導線がしっかりしていないと、コンバージョンには繋がりません。

このように、コンテンツマーケティングを行う目的を明確にし、その目的を達成するために必要な施策を逆算して考えていく必要があります。

手順2. ペルソナ(ターゲット)を設定する

コンテンツマーケティングを行う目的を明確にした後は、ペルソナ(ターゲット)を設定しましょう。サイト全体のペルソナはもちろんのこと、作成するコンテンツごとに細かくターゲット設定をすることが大切です。

ペルソナを細かく設定しておかないと、コンテンツを作成しても、誰に向けて作成されたコンテンツなのかが曖昧となり、誰にも響かないコンテンツになってしまうためです。

ペルソナに設定するべき指標として、以下のようなものが挙げられます。

  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 出身地
  • 生活パターン
  • 性格
  • 年収
  • 趣味・興味

ペルソナは、「どんな人に届けたいか」という目線で設定することで、より具体的なターゲット像をイメージすることができるようになります。

ペルソナを設定することでターゲットをイメージしやすくなり、よりユーザーに刺さるコンテンツが作成できるようになるでしょう。

なお、時間が経てばユーザーの動向も変わってしまうため半年に1回程度は実態に沿ったペルソナになっているか見直しましょう。

手順3. 伝える内容を決める

ペルソナを明確にした後は、そのペルソナに対して、どういった内容を伝えたいのかを決めましょう。また、内容を伝えた後に、どういう行動をして欲しいのかまで決めておくことで、コンバージョン数を増やすことにも繋がります。

ペルソナを決めていても、伝える内容がそのペルソナに沿った内容になっていなかったり、内容を伝えた後にして欲しい行動が決まっていなかったりと、コンバージョンにはなかなか繋がりません。

コンテンツマーケティングを行う目的と同様に、伝える内容も目的から逆算して考えることが重要です。

手順4. 伝える内容にニーズがあるか調査する

伝える内容が明確になった後は、その内容にニーズがあるかを調査しましょう。ニーズが全くないコンテンツを作成しても、誰にも見てもらえないコンテンツになってしまいます。ニーズがあるかどうかを確認する方法としては、伝えたい内容に関連するキーワードの月間検索ボリュームを調べることが有効です。

キーワードの月間検索ボリュームを調べることで、どの程度の人がそのキーワードに対して興味を持っているかが分かるので、おおよそのニーズを把握することができます。

月間検索ボリュームを調べるには、GoogleキーワードプランナーやUbersuggestなどのサービスを利用しましょう。

コンテンツマーケティングを成功させるキーワードの選定方法は以下の記事をご覧ください。
コンテンツマーケティングを成功させるキーワード選定方法とは

手順5. 伝える内容の優先順位を決める

伝える内容の優先順位を考えることも重要です。価値ある情報を提供していても、記事の終わりに伝えたい部分が記載してあると、そこに行き着くユーザー数も減ってしまいます。

基本的に、ユーザーは自分の知りたい情報を優先してコンテンツを読むので、本当に伝えたい内容を見出しの序盤で解説したり、より多くのユーザーに見てもらえる位置に記載したりしましょう。

手順6. 伝える媒体を決める

伝えたいコンテンツ内容が決まったら、最終段階としてどの媒体で情報発信をしていくのかを考えましょう。

例えば、コンテンツによっては、動画で発信した方が良い場合もありますし、ブログコンテンツやメルマガとして発信した方が良いなど、さまざまです。伝える媒体のメリット・デメリットを把握し、コンテンツ内容に合った最適な媒体で発信しましょう。

媒体の一例を以下に挙げますので、参考にしてみてください。

  • ブログ
  • メルマガ
  • SNS
  • YouTube
  • 電子書籍
  • 紙媒体の書籍
  • LP(ランディングページ)

手順7. 良質なコンテンツを作成する

コンテンツの質はコンテンツマーケティングの命です。低質なコンテンツはユーザーにメリットをもたらさず、必要とされません。

良質なコンテンツには、役立つ情報が載っている、興味深い、見ていてストレスがない、などさまざまな条件があります。しかし最も重要な条件は、信頼できることです。ユーザーに信頼してもらうために、エビデンス(科学的根拠)を示します。エビデンスには極力、1次情報を使うようにしましょう。

実際に起きたことや調査結果、実験結果などが1次情報に当たります。1次情報を使ったコンテンツをベースに作った情報は2次情報になります。「次」の数が増えるごとに情報の信頼性は低下します。

ただ、すべてのコンテンツを1次情報だけで作ることは難しいでしょう。そのため「極力1次情報を使うが、やむを得ない場合は2次情報を使う。3次情報以降はよほどのことがない限り使わない」といった指針を打ち出すことが大切です。

コンテンツマーケティングの効果を確認する方法

作成したコンテンツは、公開した後に放置してしまってはコンテンツマーケティングの効果を最大限に発揮させることができません。公開後は分析を行い、改善を繰り返していく必要があります。

コンバージョンに至った場合は、ユーザーがサイト内でどのような動きをしてコンバージョンに至ったのかを把握することが重要です。また、作成したコンテンツがきちんと読んでもらえているのか、平均滞在時間や直帰率も確認しながら改善を繰り返していきます。

それでは、確認するべき指標ごとに、解説していきます。

セッション数・PV数

PVとセッションの意味は、先でも以下の通り述べましたが、

  • PV: ユーザーがページを閲覧した回数
    (例:ユーザーが3つの記事を見ると、3とカウント)
  • セッション:サイトへの訪問数
    (例:同じユーザーが2回訪問すると、2とカウント)

PVとセッション数は、サイト内のコンテンツをどれくらい読んだのかという、コンテンツマーケティングの効果測定のベースになる指標です。

確認するには、Googleが無料で提供しているツール「Googleアナリティクス」を使用すると良いでしょう。

シェア数

SNSのシェア数は、拡散力が高いほど増加していき、サイト内に訪れるユーザーの人数も多くなります。確認方法としては、Googleアナリティクスのカスタマイズ設定や、サイトがWordPressで構築されている場合は、プラグインを使用することで確認できます。

CV率・CV数

「お問い合わせ」や「商品購入」など、コンバージョンの定義はサイトによってさまざまですが、コンバージョンの指標を示すのがCV率CV数です。

PV数が多いにも関わらず、CV数(CV率)が低い場合は、読んだだけで満足して離脱してしまっているか、コンバージョンするまでに何かしらのハードルがあり離脱してしまっていることが考えられます。これらもGoogleアナリティクスを使って計測する事ができます。

CV(コンバージョン)に関する記事はこちら!
CVRとは?CVR(コンバージョン率)計算式と求め方を分かりやすく解説

コンテンツマーケティングの成功事例

最後に、コンテンツマーケティングの成功事例を紹介します。

株式会社スマートキャンプ

株式会社スマートキャンプはSaaSプラットフォーム事業を展開しています。

同社は「ボクシルマガジン」と「ビヨンド」というオウンドメディアを運営しており、これがコンテンツマーケティングの媒体になっています。

ボクシルマガジンでは主にクラウドサービスのニュースや役立つ知識などをコラム形式で掲載しています。

ビヨンドはビジネスパーソンのライフスタイルを支援する情報を掲載しています。

同社の狙いは、この2つのオウンドメディアから、SaaS比較・検索サイト「ボクシル」に誘導することにあります。

この3つのサイトは以下のような関係になっています。

●ボクシルマガジンとビヨンド:コンテンツマーケティング用のサイト
●ボクシル:事業用のサイト

事業用のサイトであるボクシルを閲覧してもらうことで、閲覧者を顧客していく戦略です。

ボクシルをいきなり閲覧してもらうことが難しいため、ボクシルマガジンとビヨンドで、ニーズが顕在化する前のユーザーである潜在顧客を取り込んでいくわけです。

●ボクシルマガジンとビヨンド:ニーズが顕在化する前のユーザーを潜在顧客にする
●ボクシル:潜在顧客を顧客化していく

ボクシルマガジンとビヨンドのコンテンツで潜在顧客を育成し、ボクシルに誘導して顧客化していきます。

株式会社サイボウズ

株式会社サイボウズは、データベース・情報共有・コミュニケーションツールのkintoneを展開しています。

同社もオウンドメディアの運用に力を入れており、「サイボウズ式」を運用しています。働き方や生き方に関する情報を発信し、ワークライフバランスやQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げるためのノウハウを提供しています。

オウンドメディアの最終目的は、サイボウズのグループウェアの顧客を獲得することにあります。そのためオウンドメディアには、グループウェアというシステムが生み出す価値に着目するコンテンツが多く見かけられます。

同社はSNSによるユーザーの拡大に成功し「はてなブックマーク」を1,500件以上獲得したこともあります。

さらに、外部のブロガーの記事を掲載することでSNSでの拡散を促進し、ユーザーへのリーチを高めています。

株式会社クラシコム

株式会社クラシコムは、ライフカルチャー・プラットフォーム事業で、北欧の食器などのECサイトを展開しています。

同社のオウンドメディアは「北欧、暮らしの道具店」といいます。

「北欧、暮らしの道具店」には「読みもの」と「お買いもの」の2つのカテゴリーがあり、非広告的なコンテンツと広告的なコンテンツを混ぜています。「コンテンツマーケティング+EC」のサイトといえます。

広告的なコンテンツを混ぜても「北欧、暮らしの道具店」が支持されているのは、コンテンツの質が高いからでしょう。リピート率は驚異的で、ユーザーの96%が週に一度は「北欧、暮らしの道具店」にアクセスし、さらに72%は毎日アクセスしています。

コンテンツの質を高めているのはその体制です。

ユーザーや閲覧者と同じ価値観を持つスタッフが編集チームを組んでコンテンツを作成しています。生活者目線でのコンテンツ作りがリピーターを増やす要因となっています。

コンテンツマーケティングのより詳しい成功事例を知りたい方はこちらもご覧ください。
コンテンツマーケティングの成功事例を徹底解説!共通点もご紹介

まとめ

コンテンツマーケティングは、訪れたユーザーに、価値のある情報を発信し続けなくてはいけないので、非常に地道で根気のいる施策です。

たった1つのコンテンツを作成するのにも、この記事でお伝えしたように調査や分析が必要なので、ユーザーに届けるまでには非常に多くの工数がかかります。

しかし、コンテンツマーケティングを行うことによって、ユーザーに売り込むのでなく、ユーザーが自ら商品・サービスに興味を持つように設計することができます。

集客から販売、リマーケティングまでを統合的に行える非常に効果的な施策といえるため、オウンドメディアを立ち上げ、コンテンツマーケティングに力を入れる企業も増えてきています。

自社でコンテンツマーケティングを行うことが難しい場合もあるでしょう。コンテンツマーケティングに力を入れたいが、自社での運用が難しい場合は、コンテンツマーケティング支援をしている企業に依頼するのがおすすめです。

弊社でも、コンテンツマーケティングに関するご相談を常時受け付けているため、お気軽にお問い合わせください。

ヒトノテロゴ

執筆者:矢田茉里衣

株式会社ヒトノテのコンテンツディレクター。クライアントの要望に柔軟に対応できるよう、ヒアリングに重きを置いています。

ヒトノテ坪昌史

監修者:坪昌史

株式会社ヒトノテの代表取締役CEO。 エンジニアとしてキャリアスタートし、サイバーエージェントのSEO分析研究機関を経て、リクルートの横断マーケティング組織のマネージャー&全社SEO技術責任者を務める。その後、独立しSEOを中心としたクライアントの課題解決を行う。2017年、株式会社ヒトノテを創業し、様々な企業のウェブマーケティングの支援を行う。

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